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2020-12-24 14:16:00

この年の瀬は、色々な壁を乗り越えなければいけない日々が続きました。こうして弱音を書いてしまうのはたぶん初めてのことで、私にとってはそれほど大きな壁でした。

 

そんな時、私のお目付役である小さなミニチュアのティーポットが声をかけてきます。「まだまだ君はひよっこだな、もっと頑張れよ。」

  

 

パリ、サンジェルマン・デ・プレの「PINAULT」というお店。ショーウィンドウに置かれた可愛らしい小物達が、前を通るたび私に語りかけてきます。ひとつひとつ全ての息吹きが聞こえるかのように、その場所に置かれているのです。

 

パリの友人宅にたびたび居候していた頃、私は散歩に出かけるとその店の前で必ず足を止めました。中に入りたくて仕方ありません。けれども扉を開ける勇気がなく、外から見つめるのが精一杯です。

 

ある年の春、やはり外からじーっと見つめていたら、店主が微笑んでくれました。勇気がない私の心のうちを見透かされたかのようです。今しかない、えいっ、と扉に手をかけます。

 

店の奥に佇んでいたリモージュ焼きの小さなティーポット。淡いブルーにバラが咲き、底には茶葉が描かれています。出会った瞬間の一目ぼれでした。

 

 

あれから10年、このティーポットは事あるごとに私に話しかけてきます。いつもは優しく見守ってくれながら、時にはもっと頑張れよと厳しい口調です。

 

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